ブラッドベリの「華氏451度」は焚書を扱い全体主義や物質主義を批判したSF小説。トリュフォーが66年に映画化してる。オープニングには徹底して文字を使わず(ナレーションだけ)、エンディング(THE END)で初めて文字が出るなど、原作の世界観を損なわないよい作品です。
「焚書」というのはしかし文明の排除や破壊のもっとも明示的な行為だ。ナチのそれも実際に文化の消去というよりプロパガンダ的要素が高い。
「華氏451度」のラストに登場する「本の人々」の存在は希望の光をもたらすと同時に、その不安定・不確実さから小さな絶望も拭い去れない。それでも私は「本の人々」の側がまだましに感じられる。


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