2006/10/13

幻の湖に思いをはせる

「幻の湖」という映画があります。私はあまり邦画好きではないけどたまには。
日本映画を代表する監督・脚本家である橋本忍氏が監督/製作/原作/脚本を手がけた82年製作の東宝50周年記念超大作なのですが、この映画かなりヤバい。
橋本忍氏のすばらしい仕事は、こちら の通り。
3時間弱のこの恐ろしい映画は、実際に見てもらわないとなんとも伝えがたい魅力と脱力感に、二重三重のオブラートでくるんで包まれています。
静かに、そしてひたすら長いプロローグから導き出される伏線また伏線。時間軸は現代から太平洋戦争はては桃山時代にまで伸び、空間軸は琵琶湖を基に宇宙空間にまで広がりに広がっていくのです。

琵琶湖、トルコ嬢、野良犬、ジョギング、トルコ嬢同士の対立、作曲家による愛犬の殺害、
外国人スパイ、ジョギングによる復讐、銀行員との恋、婚約、謎の笛吹きとの恋、戦国時代の悲恋話、
NASA、復讐の和装マラソン、血飛沫、スペースシャトル、
宇宙空間から見える琵琶湖(大きい)に添える笛

…思いつくままに並べてみました。これ全部ひとつの映画に盛り込まれているアイテムです。これだけ盛り込まれていながら3時間弱のほとんどが主人公お市のジョギングシーン。
前衛映画として観るにはあまりにも壮大なスケールっぷりに、観ているこちらの脳は開いていいのか閉じるべきなのか判断がつかないまま、「長さを感じなかった!」などという戯言も思いつかないままその長さに耐えなければならないという、なんともすばらしい映画です。
そしてこれは蛇足なのですが、
日本を代表する監督・脚本家である橋本忍氏が監督製作原作脚本を手がけた東宝50周年記念超大作であるところのこの映画、調べてみたら公開1週間程度で打ち切りになったとのこと。
あなたはこの映画観ますか?観ませんか?
私はたぶんまた観ます。長いけど。
20061013-maboroshi.jpg 徐行しながら暴走するテーマの迷走?


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