2006/09/07

梁小龍にみるカンフーハッスル評

カンフーハッスル(原題:功夫)という映画は、香港映画ファン、カンフー映画ファンにはどうも賛否両論なようですが、私はそれなりに違う見方をしています。
サイトなどを見ていて否定派の方々の意見でもっとも多いのがCGの使いすぎ、というもの。なるほど。
これは間違いなくジャッキー・チェンこと成龍の作ってきた流れで、私もいちジャッキーファンとしては理解できるところです。しかしながら香港映画はそれだけではありません。日本映画がシチュエーションやアングルに凝りに凝りまくっていた頃(特撮映画は別として)、香港映画は惜しげもなくワイヤーアクションを使いまくっていたわけで、その進化形としてCGに移行するのもこれまたいいのではないかな、などと思うわけです。だいたい生身アクションはすっかりタイのトニー・ジャーに最近持ってかれちゃってるでしょ!

スティーヴン・チャウこと周星馳(チャウ・シンチー)という人は頭のいい人のようで、そうした香港映画へのオマージュを欠かさない。自分でも正統な香港映画シーンの継承者としてのプライドが感じられてよい。説明の多い台詞まわしも香港映画の特徴ですよね。ホイ三兄弟やその他の香港映画、もちろんジャッキーへの深い敬愛が見えるので、ただただ映画好きでポリシーなくオマージュと名づけたパロディをばらまくタランティーノなんかとはその深さで差を感じるわけです。

そして周星馳がこのカンフーハッスルという映画でもっともすばらしい仕事をしたのが、最強の敵役としてブルース・リャンこと梁小龍を起用したことではないでしょうか。

70年代からアクションスターとして活躍した梁小龍。出世作である「必殺ドラゴン鉄の爪」(原題:生龍活虎小英雄)は、そのスピード感、迫力ともに香港カンフー映画史上最高作と言われるのも決して間違いではないと思います。私も最後に見たのはもう10年近く前ですが、何しろアクションが激しすぎて香港でさえ上映禁止となるほどだったそうで。しかし確かに梁小龍の美しい跳躍と回し蹴りは必見。観たことない方はぜひ探してみてください。

梁小龍の欠点といえば唯一です。それは、
「顔がかっこよくない。」
致命的かもしれませんが、まあ…。

そんな梁小龍ですがカンフー映画の凋落とともに出演作は減り、88年のロレッタ・リー主演で日本公開もされたチャイニーズ・ゴースト・バスターズ(原題:猛鬼佛跳牆)での出演を最後に銀幕からは遠ざかっていましたが(今回これを書くために調べたら武術指導もしてたんですね)、15年ぶりに銀幕に引っ張り出してくれたわけです。しかもこの人演技も上手いんだ。目元の使い方が絶妙なんですね。

今回改めて梁小龍について調べるにあたって、ワンチャイ資料室梁小龍(ブルース・リャン)の小部屋 にお世話になりました。知らなかった新事実もたくさん載っていて勉強になりました。
null 20060907-kungfu3.jpg 名作「必殺ドラゴン鉄の爪」必見。しかしこの映画に鉄の爪は出ない


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