実際にキツネが油揚げを食べるところを見たことはありませんよね。
ではなぜ油揚げなのか。
稲荷神社の奉ずる神は「荼吉尼天(だきにてん 茶枳尼天とも)」です。
荼吉尼=ダーキニーはカーリーの眷属とされ、カーリーに付き従って屍林をさまよい、
敵を殺し、その血肉を食らう女鬼です。
※カーリーはシヴァの妻の一人で「黒き者」とも呼ばれる血と酒と殺戮を好む戦いの女神。
真言密教立川流などにおいては重要な神です。
また狐は古来より、古墳や墓に巣を作り、時には屍体を食うことが知られていたことから、
荼吉尼天との連想、結びつきが行われ、荼吉尼天=白晨狐王菩薩とする真言密教の手によって、山信仰であった神道の稲荷と融合したと言われています。
その荼吉尼天の好物がネズミの揚げ物であり、荼吉尼天を奉ずる修行者もそれをお供え物にしていたため、殺生を禁じる仏教に取り込まれた際に、大豆製の油揚げで代用されたものが発祥と言われます。
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